川崎(じもと)の弁護士 伊藤諭 です。

みなさん、川崎は横浜の一部です。

相模原横須賀小田原も全部横浜に含まれます。

こう言われてどう思われますか?

「なにをいっているんだ!?」と思われるのが一般的だと思います。

私の事務所は川崎にありますが、横浜弁護士会所属です。

相模原や、横須賀、小田原、その他神奈川県内に事務所を構える弁護士は、全員横浜弁護士会所属です。

川崎の弁護士に相談したいのに、横浜弁護士会川崎相談センターで担当した川崎にいる横浜弁護士会の弁護士を紹介されたら、混乱しませんか?紛らわしいとおもいませんか?

「横浜弁護士会といえば、神奈川県全体の弁護士の団体を指すんだ」と、一般の方には理解されない紛らわしい名前を変更しようと、昨日、弁護士会の総会が開かれました。

結果はこの通り。

「横浜弁護士会」120年の名称継続へ、変更案総会で否決/神奈川:ローカルニュース : ニュース : カナロコ — 神奈川新聞社

なお、神奈川県弁護士会以外に神奈川弁護士会、かながわ弁護士会という案も出て、それぞれ採決されましたが、変更に必要な3分の2(66.7%)の賛成を集めるには至りませんでした。

「神奈川県弁護士会」 得票率 63.1%

「神奈川弁護士会」  得票率 61.1%

「かながわ弁護士会」 得票率 36.3%

開かれた司法を実現するためには、まず市民にわかりやすい名称に改めるという、誰でも理解できそうな理屈が通りませんでした。

総会では非常に活発な議論が行われました。 他の議題もありましたが、午後1時から11時近くまでかかって、会名については現状維持という信じられない結論になってしまいました。

もっとも,全体で6割以上の会員が会名変更に賛成しているという結果は明らかになったのは救いです。

会名賛成派の方からは,利用者がいかに戸惑っているか,具体的なエピソードと共に意見されていたのが印象的でした。

ある会員からは,東北から横浜市でない神奈川県内に避難されている被災者の方に,「横浜弁護士会」主催の相談の案内をされたところ,その方は,自分がいるところは横浜ではないからとこれを利用せず,自分の避難している地区の弁護士会の案内が来るものと思っておられた,というお話をされていました(広い会場で聞いていたため若干不正確かもしれません。)。
現状弁護士会のホームページなどでは,「横浜弁護士会」の表示と一緒に

横浜弁護士会は、
神奈川県内に法律事務所を持つ
弁護士全員が加入する法定団体です。

といちいち記載されていますが,この意味がきちんと伝わっているとは到底思えません。

会名変更に反対された方の意見はおおむね次のとおり。

・意に沿わない会員に変更を押しつけるのは相当でない。
・(横浜の弁護士との誤解が生じる点について)周知が足りないだけである。
・「横浜」のほうが国際的で約120年の伝統がある。
・裁判所や検察庁も同様である。
・「機」が熟してない。

今回, 賛成派、反対派それぞれから、若手会員に対する委任状争奪戦、あるいは説得工作があったと報告され、それに対する反発票が一定数あったことは、想像にかたくありません。

本来,弁護士がどのような態度で市民に接するかという姿勢を問う重要議案が、非常に政治的で、それでいて感情的に決まってしまうことが残念でなりません。

弁護士に対する信頼が揺らいでいるこの時代にこのような内ゲバを続けていては、市民から本当に見放されてしまいかねません。

今回は非常に残念な結果になってしまいましたが,個人としてはこれからも利用者の皆様のお役に立てるようがんばっていきたいと思います。

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