川崎(じもと)の弁護士 伊藤諭 です。
今回は趣向を凝らして,これまで印象に残った法律相談を紹介します。
なお,特定を避けるため,実際の内容から大幅に変更してあります。
1 この人からお金を返して欲しい!
ある相談。
受付を済ませて,ご年配の男性と女性のお二人で相談室に入ってこられました。
私「どのようなご相談ですか。」
女性「お金を請求できるか知りたいんです。」
私「なるほど。具体的にどういう請求をされたいわけですか。」
女性「実はこの人にお金を貸してまして(隣の男性を指さす),こういう文書ももらってます。これが有効かどうかを見てもらいたいんです。」
私「……」
どうやらこのお二人,ご家族かと思っていたら,お金の貸し主と借り主。
片方に有利なアドバイスをすれば他方に不利になる。つまり利害が対立する関係にあるわけです。
私がこの女性の質問にしたがって回答した場合,男性にとっては弁護士である私の回答と違う意見を言いにくくなるでしょう。弁護士は裁判官ではないのです。
こうしたことを説明しながら,回答できないことにご理解いただきました。
2 宝くじが当たっているのに払い戻してくれない
これまたある相談。
私「お待たせしました。どうぞおかけください。今日はどうされました?」
男性「宝くじが当たってるのに銀行が認めてくれないんです。」
私「え?そんなことがあるんですか?少しみせてください。」
男性がみせてくれた「当たりくじ」と当選番号の新聞切り抜きを見比べてみましたが,どの番号に当たっているのかさっぱり分かりません。
私「…ちょっと開設してもらえますか?」
男性「先生も見方知らないんですか?しょうがないなあ。0は何にでも置き換えていいからここを8にして,この並びをこうやって入れ替えて…」
私「…すいません。お力になれそうにはありません。」