川崎(じもと)の弁護士 伊藤諭 です。
先般,川崎市多摩区の民生委員の方々に向けて,民生委員活動と個人情報というテーマで2日間にわたりお話をする機会をいただきました。
民生委員とは,地域のボランティアとして地域住民の方の支援をする立場の方々です。
民生委員の方々は市民の皆様からの協力が職務上必要不可欠である一方,個人情報の意識の高まりから,必要な情報を市民から取得できないなど,一部で「過保護」ともいうべき例があるのも事実です。
なかなか弁護士業務においてはなじみが薄い分野ではありますが,みなさん,熱心に耳を傾けていただけました。
講義の中から一部抜粋して,いわゆる個人情報保護法における「個人情報」とはなにかについて説明したいと思います。
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みなさん,「個人情報」ってどのような情報のことをいうかご存じですか?
何でもかんでも個人情報というわけではありません。
「個人情報」とは、
生存する個人に関する情報であって、当該情報に含まれる氏名、生年月日その他の記述等により特定の個人を識別することができるもの(他の情報と容易に照合することができ、それにより特定の個人を識別することができることとなるものを含む。)をいいます。(個人情報の保護に関する法律第2条)
何を言っているか分からない?
その気持ちよく分かります。
ちょっとまとめてみましょう。
※個人情報保護法(岡村久道著 商事法務)を参考に作成
1 自然人の情報であること
個人情報といえるためには,自然人の情報であることが必要です。
法人や団体の情報は個人情報ではありません。
ただ,代表者や構成員の情報はその人たちにとって個人情報になることはもちろんです。
2 生存者の情報であること
次に,その情報は生きている人のものでなければなりません。
そうでないと,「福沢諭吉の旧居」なんていうものが展示できなくなりますね。
亡くなった人の情報が生きている個人の情報になっている場合は個人情報です。
(「Aさんの亡くなった父親は○○会社に勤めていた」という情報は,生きているAさんの個人情報です。)
3 情報自体に本人識別性があること
情報からその本人を識別できれば個人情報です。
顔写真やペンネームなどです。肩書きがこれにあたる場合もあります(「○○株式会社の現社長」など)。
4 他の情報と容易に照合することができ,それにより特定の個人を識別できること
その情報に本人識別性がなかったとしても,他の情報との合わせ技で特定ができれば個人情報です。
たとえば,「30180」という番号自体には本人識別性があるとは言えませんが,これが弁護士の登録番号であり,弁護士情報検索で検索すると,「弁護士伊藤諭」を特定することができます。したがって,これは個人情報です。
「個人情報」の定義として個人情報保護法には以上の要件しかありません。
著名であるとか有名人であるということは除外の要件になってませんので,「安倍晋三」という実名や「タモリ」という芸名なども個人を特定する個人情報になります。
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