学資保険

日曜にマラソンを走ったり(歩いたり)といろいろご報告することがあったのですが,今朝のニュースでこんなものが出てきましたので,一言だけ。

学資保険、元本割れ返還へ 住友生命、和解勧告受け入れ (朝日新聞デジタル) – Yahoo!ニュース

日本人は保険が大好きな国民で,特に学資保険については,子供が生まれたら必ず入らなければならないものという義務感で加入されている方が多いように思います。しかも,多くの方が,この種の保険を「貯蓄」と認識されているというところに罠があります。

保険制度そのものの解説については他に譲りますが,このようなランキングがあるとおり,元本割れしないなどとは全く言えない商品であることは明らかです。むしろ,他の商品に比べて学資保険が有利とは言えないという方もおられます。

学資保険の返戻率ランキング (2013年10月更新) | 最速資産運用

今回お話ししたいのはそこではなく,住友生命が和解を受け入れた背景についてです。

今回大阪高裁の裁判のようですが,原審(第1審)の判断については書いてないのでよく分かりません。

しかし記事によると「本件に関して」裁判所から強い和解の勧告があり,これを受け入れたということです。

高等裁判所の和解勧告は,通常,これを断ると「和解勧告とほぼ同じ判決を出すぞ」という言ってみれば脅しに近いものがあります。おそらく本件では,保険の外交員が契約ほしさに美味しいことばかりを説明したのでしょう。

住友生命としては,和解を断って,和解案通りの判決が出たら上告するという選択肢もあったと思います。

しかし,最近の最高裁の判断は消費者保護の傾向が強く,住友生命にとって芳しくない結論が出るおそれも皆無ではありません。

一旦,最高裁の判断がでてしまうと,その判断は今後すべての同種訴訟の判断基準になってしまいます。おそらく全国からあらゆる保険会社に対して元本割れ分の返還訴訟が殺到し,そのすべての裁判において外交員の説明内容などが争点になるというとんでもないパンドラの箱を開ける可能性があります。

もちろん,ここで和解をした事実も事実上の先例として他の事案に影響する可能性がないわけではありませんが,裁判所,特に最高裁の判決において認定されるよりはずっとマシだという判断だったのだろうと思います。

このように,高裁での和解勧告というのは,奥が深く,そして恐ろしいものなのです。

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