ここ数日,川崎の町が注目されています。
ええ,必ずしもよくない意味で。

横浜地検川崎支部

(今朝の横浜地検川崎支部。報道車両が結構いたんですが,写ってないですね。)

逮捕の強姦容疑者逃走 地検川崎支部 接見中、腰縄外し

報道などによると,この容疑者は逮捕された後,勾留状が出る前の段階で逃走したとのことのようです。

一般的に,警察官に逮捕された者については,検察官は逮捕から最大72時間以内に勾留請求(引き続き原則10日間身柄を留めおかれる決定の請求)するか,それができない場合は釈放することになります。一般的な実務においては,逮捕の翌日に検察官が容疑者の弁解を録取して,必要により裁判所に勾留請求するのが通常です。
今回は,この勾留請求をするかどうかの段階(弁解録取書を作る段階)の逃走だったようです。

逃走しても罪にならない?

では,この容疑者は,逃走したことについて別の犯罪が加わるのでしょうか。

思いつくのが,「逃走罪」

(逃走)
第九十七条  裁判の執行により拘禁された既決又は未決の者が逃走したときは、一年以下の懲役に処する。

しかしながら,この「裁判の執行により拘禁された」というのは,単に逮捕されただけの者はあたらないというのが一般的な見解です。

そうすると,この容疑者に逃走罪は成立しないということになります。

じゃあ,どうやって捕まえる?

一般の方は,「逃げたんだから捕まえるのは当然だ」くらいにお考えかも知れませんが,「捕まえる」には,法律上の理由が必要です。

逃走罪が成立する人間であれば,「逃走罪」の現行犯人逮捕をすることが可能です。

しかし,この容疑者の場合,逃走罪の犯人ではないので,もともと逮捕した罪名でもう1回逮捕するしかないのではないかと思われます。

おんなじ事実を理由として2回逮捕できるの?と疑問に思った方。センスいい!

法律上,1つの犯罪では1つの逮捕,1つの勾留しかできないというルール(一罪一逮捕勾留の原則)があります。

実は相当難しい問題で詳細は省きますが,このような極めて例外的なケースにおいては,既に出された逮捕状の効力が残っている間は,その逮捕状で逮捕,タイムアップ後は新たに逮捕状を請求できるという見解のようです。

勾留決定が出た後であれば問題なく逃走罪で逮捕できるのですから,

しかし,このような複雑な法的問題を知って,逮捕後でかつ勾留前という絶妙なタイミングで逃走したのであれば,容疑者は相当のタマですね(そんなわけない?)。

(平成26年1月9日(木)15:03追記)

ついに逮捕されましたね。

逃走男、2人乗りスクーター使用か「1人薄着」

 ◆改めて逮捕状

 横浜地検が、神奈川県警による逮捕時と同じ容疑内容で、改めて逮捕状を取ったことが、捜査関係者への取材で分かった。

 捜査関係者によると、同一容疑での複数回の逮捕権行使は通常認められないが、杉本容疑者の場合、6日逮捕され、宮前署に留置された時点で県警が取った逮捕状が効力を失い、勾留手続きを終える前だったため逃走罪なども適用されない。逃亡先で発見しても拘束する法的根拠がないため、裁判所が逮捕状を再発付したという。

逮捕状の再発付を受けていたようです。

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