裁判員裁判にからみ、興味深いニュースがありました。

 

裁判員全員解任 選任やり直し NHKニュース

裁判員の1人が病気を理由に辞任を申し出たことから、この人を解任し、他の裁判員に別の期日を提示したところ、予定が合わないとして全員が辞任を申し出たため、裁判所が全員を解任し、裁判員の選任からやり直すとのことです。

裁判員を途中でやめることができるのか

法律で、裁判員が辞任の申立をできるのは、裁判員選任後に発生した次の事由がある場合に限られます。

裁判員の参加する刑事裁判に関する法律(裁判員法)
第16条

八  次に掲げる事由その他政令で定めるやむを得ない事由があり、裁判員の職務を行うこと又は裁判員候補者として第二十七条第一項に規定する裁判員等選任手続の期日に出頭することが困難な者
イ 重い疾病又は傷害により裁判所に出頭することが困難であること。
ロ 介護又は養育が行われなければ日常生活を営むのに支障がある同居の親族の介護又は養育を行う必要があること。
ハ その従事する事業における重要な用務であって自らがこれを処理しなければ当該事業に著しい損害が生じるおそれがあるものがあること。
ニ 父母の葬式への出席その他の社会生活上の重要な用務であって他の期日に行うことができないものがあること。

 

最初に辞任の申立てをした人は、「イ」に該当するということなんでしょう。
では、その他の5人(さらに補充裁判員もいるはずです)については、こうした判断をしたんでしょうか。人によっては、「ハ」に該当する人もいたのかもしれませんが、全員に対して裁判所がこうした判断を行ったのか、非常に興味のあるところです。

裁判員制度が始まった当初から、裁判所は、裁判員(候補者)に対して、大変気を遣っている様子が明らかにありました。あたかもお客さんのような扱いをしているように見えることもあります。

今回、形なりに辞任の申立があれば、あまり詮索せずに認めてしまったのかも知れません。
いったん辞任を申し出た裁判員が、辞任が認められず裁判員の職務を継続するよう指示されても、士気が維持できるかどうかも大変疑問です。
裁判員裁判は通常丸一日裁判官や弁護人、検察官、被告人、あるいは証人などの話を集中して聞き、理解することが求められますので、相当骨の折れる仕事ではあります。それだけにやる気のない人に職務を続けさせることが酷であるという見方もできるでしょう。

また、これは完全に想像になりますが、どうして全員が同時に辞任を申し出たのか、裁判長の訴訟指揮などなにか裁判の進行において円滑に進められない事情があったのかも気になります。何かの抗議、裁判員たちの何らかの意思の表示だったのでしょうか。

今後どうするのか

報道によると、裁判員裁判の2日目からやり直すとのことです。

別の報道によると、現住建造物等放火の事件で、1月14日が初公判、15日結審、17日判決の予定とのことでしたので、おそらく自白事件(罪を認めている事件)で、初公判の日にそれなりの審理を進めていたものと思われます。

すでに被告人質問や証人(おそらく情状証人か?)尋問などを実施していた場合は、差し戻しの場合のように、実施した尋問の模様をDVDなどを上映するのでしょうか。

進行の仕方も興味深いところです。

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