裁判の証人尋問などで、話している内容がどうにもすんなり頭に入ってこないことがあります。
プロであっても、この人の話は分かりにくいなあと思うことはよくあります。
私だってときどき自分で話していて整理が付かなくなることがあります(むしろ下手です)。
今回は、「答え方」に焦点を当ててまとめてみたいと思います。
まずは結論を端的に答えて、その後に理由をいう
「あなたは今回の事件を目撃しましたか?」
「私は、普段からこの付近を通るんです。通勤経路ですからね。でも私の仕事って、休みが暦通りじゃなくて水曜日じゃないですか。で、火曜日の朝にここを通ったときにむこうから見慣れない人がダーーっと来て、おばあちゃんをはね飛ばしていったんです。」
そんな答え方する人なんているの?と思うかも知れません。でも、大なり小なり似たような答え方をする人はいます。
もちろん、この質問に対する答えは「はい」か「いいえ」のどちらかで答え、その後に理由を簡潔に述べる。余分な情報は要りません。答える側も話しているうちに質問を忘れてしまいます。
話し言葉であっても、一文の長さに気をつける
プロのテレビリポーターなどでも気になる人がいます。この一文はどこまで続くんだろうと。
「私はその日、子供と歩いていたんですけれども、前方からこの辺りでは見慣れない人が走ってきたので不審に思っていると、前を歩いていたおばあちゃんをはね飛ばして、そのおばあちゃんは数メートル吹き飛んでしまったんですが、そのおばあちゃんを振り返ることもなく、そのさっきの人はものすごい勢い絵で走り去っていったんですけれども…」
「が」「けれども」という逆接にも順接にも使える接続詞はマジックワードですので、形式的には延々とつなげることができていまいます。気をつけましょう。
主語を明確にする。主語を固定する。
「私はその日、子供と歩いていたんですけれども、前方からこの辺りでは見慣れない人が走ってきたので不審に思っていると、前を歩いていたおばあちゃんをはね飛ばして、そのおばあちゃんは数メートル吹き飛んでしまったんですが、そのおばあちゃんを振り返ることもなく、そのさっきの人はものすごい勢い絵で走り去っていったんですけれども…」
さきほどと同じ文章ですが、主語と述語をあまり離してしまうと、対応関係が分からなくなります。
日本語は主語を曖昧にする(できる)特性がありますので、よく考えていないと聞いている方は混乱します。
挿入句をいれない
この文書です。この文書、作成したのはAさんといって●●株式会社の経理の担当者だった人、いまは違う人が担当しているのですが、その人が作ったこの文書のこの末尾の記載で…
話しているうちに、その登場人物の説明をしたくなるんでしょうね。思い切って伝える情報を割り切るということも重要です。
直接話法はできるだけ控える
彼女が、「うちは貧乏だから苦労してる」っていうんです。
直接話法は非常に混乱を招く表現です。上の文章、書いてあるとすぐ分かるのですが、聞いていると、「うち」が自分の「うち」なのか、彼女の「うち」なのかただちに分かりません。誰のことを話しているのか、できるだけ特定するようこころがけてください。
呼称を統一する
会話の中に、突然「長男」という単語が出てきたときに、自分の長男、つまり子だとおもって聞いていたら、実は自分の兄(つまり自分の親から見て長男)だったということがありました。
相対的な関係で人物を特定する場合、誰から見た誰なのか(私の長男、私の長兄など)をはっきりさせましょう。
まあ、えらそうなことを言っていますが、質問に答えるって本当に難しいですよね。