こんなニュースが飛び込んできました。

<取り調べ可視化>全過程で義務付け 対象は2案併記 (毎日新聞) – Yahoo!ニュース

さらにそんなタイミングでこんな報道も。

札幌の連続ボンベ爆発事件 女に逮捕状

「任意の」事情聴取を5日間行った末での逮捕だそうです。

密室での取り調べ

近時、冤罪事件(足利事件障害者郵便制度悪用事件、まだ解決してませんが袴田事件など)の発覚が頻発し、その多くが密室での取り調べによる自白が原因となっています。

このような虚偽の自白を防ぐため、取り調べの可視化の必要性がかねてから叫ばれています。

通常、取り調べというのは、捜査官が、被疑者に質問をしてその答えに対してさらに問を重ねるという方法で、被疑者の言い分を「供述調書」にまとめます。

この「供述調書」というのは、「私は、このとき○○とおもいました。」というように、あたかも被疑者が自分でべらべらとしゃべったような形式(独白形式)に仕上がります。

それだけを見ていては、どういう取り調べの経緯でこのような供述になったのかがさっぱり分かりません。

よく裁判では、この供述が任意でなされたものかどうかが争いになります。

録画、せめて録音でもあれば一発で分かるのに、わざわざ法廷で取調官(刑事や検察官)を呼んで当時の様子について証言してもらうという回りくどいことをしているのです。

一部可視化

裁判員裁判が始まって、その対象事件については、一部可視化がなされています。

「一部」とは、検察官の取り調べにおいて、供述調書が出来上がった段階での「読み聞け」(内容を読み上げて間違いないかどうか確認する手続)部分だけ録画するということです。(特捜事件などでは被疑者の同意があれば録画しているようです。)

これでは、仮にいわゆる「完オチ」した事件ではその供述過程がさっぱり分からないということに変わりはありません。一旦「落ちた」あとに、録画段階で「やっぱりさっきの自白は違います」なんて言えるわけがありません。

また、可視化の対象は逮捕された被疑者のみで、その他のいわゆる参考人(逮捕前の被疑者、目撃者や被害者など)の聴取は含まれてません。

反対の理由

全面可視化反対の理由として、・被疑者や関係者のプライバシー保護・共犯者がいる場合に供述しにくくなる・取調官との信頼関係が構築できなくなる、等と言われていますが、どれも可視化反対の理由としては説得的ではありません。
特に最後の信頼関係というのは、まさに冤罪の温床になりえるものです。自白すればすぐに出てこられる、処遇を決めるのは弁護人じゃなくて検察官だなどという甘言で得た信頼関係は保護に値するのでしょうか。

可視化って、本来捜査官にとっても任意性を立証したり、また被疑者からあらぬ疑いをかけられないできたりと、メリットも大きいと思うんですがね。

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