川崎(じもと)の弁護士 伊藤諭 です。

反原発集会が行われている裏で,政府の意見聴取会において,一悶着がありました。

電力社員、連日の原発擁護=「やらせ」批判も―政府の意見聴取会 (時事通信) – Yahoo!ニュース

昨日仙台で行われた意見聴取会で東北電力の従業員が,そして今日名古屋で行われた同じ聴取会で中部電力の従業員が,それぞれ原発擁護の立場で発言したということです。これに対しては,やらせだ回し者だという批判がありました。

どういう経緯でこの人たちが選ばれて発言したのか,背景はよく分かりませんが,仮に発言内容が説得的なものであったとしても,「おまえが言うな」という感情が先に立つのは自明で,逆効果にしかなりません。

ここ数日来,連日ニュースを賑わしている大津中学生自殺問題では,学校や教育委員会の発言が波紋を呼んでいます。

<大津・中2自殺>校長「けんかと思った」 いじめ認識否定 (毎日新聞) – Yahoo!ニュース

中学校や教育委員会が,いじめの認識を一生懸命に否定しています。しかし,出てくる具体的事実はいじめを基礎づけるものばかり。
弁護士の市長と現場の温度差も報道されています。代理人の立場だったとしたら非常に辛いところです。

これらのニュースに共通するものとして,いずれも

当事者(又はそれに準ずる者)からの発言

であることにあります。

訴訟においてはともかく,世論の支持を味方に付けなければいけない場面では,当事者による自己弁護,自己擁護は,仮にどんなに中身がある発言であっても,白けさせるばかりです。

マスに対して発言する以上は,受け手側の反応を事前に想定して,余計なことはいわない,いわざるを得ないことは言い方を慎重に行う,ということが必要です。

物事を発言するときは(訴訟以外では)はたして自分でこの発言をして説得力を持つのかどうかということを一度自問してみることをお勧めします。