一部界隈でこんなまことしやかな噂が流れているようです。
パーキングメーターは道交法『59分ルール』を理解して賢く使おう!|PetrolHeadのRubbishなCarLife|ブログ|GRBC|みんカラ – 車・自動車SNS(ブログ・パーツ・整備・燃費)
これによると、
「今の道路交通法では、(コイン投入式)パーキング(メーター設置)スペースは車を駐車して60分以内に300円を入れればいいのですよ」
「街中に設置してある(コイン投入式)パーキング(メーター設置)スペースは59分までは300円支払わないで駐車ができるってことなんですよ」
「意図的に59分までお金支払わないで車を止めたとしても我々には取り締まる権限が道路交通法的にないので、意図的であろうがお金未納のまま忘れていようが成す術がないのです……。」
とのことで、まるでパーキングメータースペースでは59分まではタダで自動車を停め放題かのような書き方になってます。
本当でしょうか?
法律は?
法律では
道路交通法49条の3
第4項 車両の運転者は、時間制限駐車区間において車両を駐車したときは、政令で定めるところにより、(中略)パーキング・メーターを直ちに作動させ(中略)なければならない。
と規定されています。
ここにいう「政令」は
道路交通法施行令14条の7
第1項 法第四十九条の三第四項 の規定により車両の運転者がパーキング・メーターを作動させるときは、当該パーキング・メーターに表示されている方法によりこれを作動させなければならない。
となっております。
「パーキング・メーターに表示されている方法」とは
神奈川県警のウェブサイトによると
1 車両を駐車枠内に収まるように正しく停めてください。パーキング・メーターが正常に感知し、表示が「0分」になっていることを確認してください。
2 パーキング・メーターに表示してある使用方法をよく読んで手数料を入れてください。
3 手数料300円(100円硬貨のみ使用可)は、はじめに入れてください。手数料を入れないと、駐車違反となります。 領収書が必要な場合は、手数料投入後2分以内に領収書発行ボタンを押してください。
4 利用時間(60分)を超えて駐車することはできません。(手数料の追加はできません)
手数料を入れても利用時間を超えると、駐車違反となります。
とあります。
つまり、この方法により駐車しないと駐車違反となってしまいます。
59分まで停め放題?
では、元の記事にあった公安委員会の説明は間違っているのでしょうか?
この元記事の筆者は300円を入れて駐車したが、60分を超えてしまったというので、明確に駐車違反です。お金を追加しても延長はできません。
料金を入れないまま20数分経過したベンツはどうなんでしょう?
このベンツは「はじめに」手数料を入れているわけではないので駐車違反になりそうです。
しかしながら、何分までが「はじめに」といえるか明確ではありません。300円分の100円硬貨を作るために両替や買い物などをしなければならない場合を想定すると、あまり「はじめに」の運用を厳格にするのも現実的ではありません。
おそらくこの「はじめに」の運用を、「出庫前に」と比較的緩やかに運用しているものだと思います。
つまり、59分まであれば、300円を支払うことによってさかのぼって適法な駐車になる余地があり、20数分間クルマが止まっているという段階では「まだ」違反が確定していないので取り締まることができない、ということなのだろうと思います。
もちろん、59分だろうが5分だろうがお金を支払わずに去ってしまえば当然違法になります。
すなわち、59分までであればパーキングメーターの区画に停め放題という解釈は誤解だと言えます。
金を払わずに去ってしまったクルマをどのように取り締まるかは全く別の問題です。取り締まりを受けにくい(と考える)からといって違法な行為に及ぶことはみなさんやめましょう。
(なお、本記事の法律構成などFB上での同業者間の議論を参考にさせていただきました。ありがとうございます。)
(追記 パーキングメーターの区画に制限時間を超えない範囲で停めた自動車がその後去った場合には、道路交通法51条1項にいう「違法駐車と認められる場合」ないし51条の2第1項にいう「違法駐車場行為」には当たりませんので、移動を命ぜられたり、放置違反金の対象となったりすることはありません。しかしながら、そのような場合であっても、罰則(刑罰)の対象となるという意味で本記事では「違法」と表現しております。)
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