会社員たるもの、テレビやウェブで「サービス残業」とか「残業代未払い」とかの文字列を見ると、なんかゾワゾワしますよね。
でも、「残業代」のこと、どこまで知っていますか?
今回は、「残業代」基本のキを解説します。
残業代っていつ発生するの?
9時から17時までの勤務の途中で1時間休憩をはさんで合計7時間勤務の場合、それを超えて働いた場合に残業代はつくのでしょうか?
まず原則として従業員は決められた7時間だけ勤務する義務があり、それを超えて働く義務はありません。そして残業代が支払われる前提として、会社の(明示または黙示の)指揮命令に従った残業であることが必要です。
会社によっては、残業申請を必要とするところもありますが、会社の指揮命令があったか否かは、業務量や労働実態を会社が認識していたかどうか等も判断の基礎とされるので、残業申請をしていなかったからといって、直ちに残業代が支払われないということにはなりません。迷ったら専門家にご相談ください
残業代って割り増しされるの?
1日8時間以内だけれど、会社で決められた時間(この場合は7時間)を超えて残業した場合には、会社は従業員に対して所定の賃金(月額で定められている賃金で、交通費や家族手当などは除く)を月間所定労働時間で割った金額に残業時間を乗じた金額を残業代として支払わなければなりません。これを「法内残業」といいます。この場合、割り増しはありません。
労働基準法上1日8時間(週40時間)を超えて働いた場合には、会社は従業員に対して割り増しされた残業代を払わなければなりません。割増率は25%以上なので、所定賃金を月間所定労働時間で割った金額に残業時間×1.25を乗じた金額が残業代です。これを「法外残業」といいます。響きがなんかコワいですね。
残業代は1分単位で発生するので、15分ごとに残業代を計算して15分に満たない残業の場合には残業代が出ないという方法は、実は違法です。
深夜(午後10時~午前5時)労働の場合も25%以上の割増率です。
休日出勤の場合には割増率は35%以上になります。
1か月に60時間を超える法外残業部分の割増率は50%以上です。
深夜かつ時間外(8時間を超えた分)などの場合には、合計した割増率になるので50%以上の割増になります。
固定残業代ってどうなの?
実際の残業時間にかかわらず、みなし残業代として一定額を支給し、それ以外の残業代を支払わないという制度をとっている会社もあります。これは適法でしょうか。
この制度は、通常の所定賃金部分と固定残業代部分が明確に分かれていて、上記のような計算方法で計算した残業代が固定残業代として支給されている範囲内であれば適法ですが、その範囲を上回って残業した場合には、その差額を会社に対して請求できます。
つまり、従業員にとって有利な決まりは適法ですが、従業員にとって不利な決まりは違法です。
似たような類型として、年俸制の場合には残業代が支給されないとお考えの方もいらっしゃいますが、それも間違いです。年俸制であっても残業代の請求は可能です。
残業代って、どうやって証明するの?
残業代が出ることは分かった。では、私の場合、いくら出るのか?という疑問はごもっともです。
残業時間の立証として、タイムカードなど直接的に会社にいた時間が分かる資料があればベストですが、そうでない場合が大半でしょう。ビルの入館記録や、パソコンのログイン記録、メールの送受信記録など、探せばヒントはいろいろあるはずです。
諦めないで専門家に相談してみましょう。